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用語集

命名・立体化学・反応機構・分光解析の重要語 45 項目。各項目で定義、使い方、具体例、よくある誤解を確認できます。

主官能基命名

分子中で最も高い命名上の優先順位をもち、接尾語と母体の選択を決める官能基。

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詳しい説明
複数の官能基がある場合でも、主官能基以外は通常、接頭語として表す。優先順位は単純な反応性の大小ではなく命名規則で定められる。
カルボン酸とアルコールを含む場合、カルボン酸を主官能基として「…oic acid」を用い、OHはhydroxy-とする。
よくある誤解
最も反応しやすい官能基を選ぶ規則ではない。
principal functional group 主基
母体命名

体系名の骨格となり、炭素数・環・主官能基などを基準に選ばれる構造。

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詳しい説明
単に最長の炭素鎖を選ぶとは限らない。主官能基や多重結合を適切に含むことが優先される場合がある。
–COOHを含む鎖は、より長い別の鎖が見えても母体として優先されることがある。
よくある誤解
「いつでも最長鎖」が唯一の規則だと思わない。
parent chain parent hydride 主鎖
接尾語命名

母体名の末尾に付け、主官能基や不飽和結合などを表す部分。

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詳しい説明
主官能基は通常、接尾語で一度だけ表す。母音の脱落や位置番号の置き方にも規則がある。
propan-2-olの-olはアルコールを表す接尾語。
よくある誤解
官能基名をそのまま末尾へ足せばよいわけではない。
suffix characteristic group
接頭語命名

置換基や主官能基でない官能基を、母体名の前に表す部分。

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詳しい説明
位置番号と組み合わせ、複数の接頭語は所定のアルファベット順に並べる。
3-bromo-2-hydroxybutanoic acidのbromo-とhydroxy-。
よくある誤解
di-やtri-を通常のアルファベット順に含めない場合がある。
prefix substitutive prefix
位置番号命名

置換基、官能基、多重結合、立体中心などの位置を示す番号または文字。

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詳しい説明
同じ種類の位置番号はまとめ、数字間はコンマ、数字と語の間はハイフンで区切る。
2,3-dimethylbutaneでは2と3がmethyl基の位置番号。
よくある誤解
番号は見た目が小さくなる向きを直感で選ぶのではなく、比較規則に従う。
locant number position
最初の相違点命名

二つの位置番号列を左から比較し、最初に異なる値が小さい方を選ぶ考え方。

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詳しい説明
位置番号の合計ではなく、順序づけた列を辞書式に比較する。適用前に、何の位置番号を優先比較するかを確認する。
2,3,5と2,4,4では、最初の相違点が3対4なので2,3,5を選ぶ。
よくある誤解
位置番号の総和が小さい方を選ぶ「最小和則」ではない。
lowest set locants first difference
置換基命名

母体の水素などを置き換えて結合している原子または原子団。

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詳しい説明
単純なアルキル基だけでなく、ハロゲンや複雑な分岐置換基も含む。複雑置換基は独立に番号付けする場合がある。
ethyl、bromo、propan-2-ylはいずれも置換基名として使われる。
よくある誤解
母体から枝分かれして見える部分が必ず置換基になるとは限らない。母体選択が先。
substituent branch side chain
倍数接頭語命名

同一の置換基や構造単位が複数あることを示す接頭語。

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詳しい説明
単純置換基にはdi-, tri-, tetra-などを使い、名称自体が複雑な置換基にはbis-, tris-などを用いることがある。
2,2-dimethylpropane、1,2-bis(hydroxymethyl)benzene。
よくある誤解
倍数接頭語を置換基名のアルファベット順判定へ常に含めるわけではない。
di tri tetra bis tris
アルファベット順命名

複数の接頭語を体系名中に並べる順序。

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詳しい説明
通常は置換基名の本体で比較し、位置番号やdi-, tri-などの倍数接頭語は無視する。複雑置換基では扱いが異なることがある。
ethylはmethylより前に置く。
よくある誤解
位置番号の小さい置換基から名前を並べる規則ではない。
alphabetical order prefixes
CIP順位則立体化学

立体中心や二重結合の置換基に優先順位を与える規則。

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詳しい説明
直接結合する原子の原子番号から比較し、同じなら外側へ一層ずつ比較する。同位体は質量数で比較し、多重結合は複製原子として扱う。
Br > Cl > O > N > C > Hのように、原子番号が大きいほど高順位。
よくある誤解
原子団全体の分子量や「大きさ」で順位を決めない。
Cahn Ingold Prelog priority
R/S配置立体化学

四つの異なる配位子をもつ立体中心などの絶対配置を表す立体記述子。

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詳しい説明
CIP順位1→2→3を見て、最低順位4を奥に置いたとき時計回りならR、反時計回りならS。4が手前なら判定を反転する。
最低順位Hが奥にある図で1→2→3が時計回りならR。
よくある誤解
紙面上の時計回りだけを見て、最低順位の向きを無視しない。
stereodescriptor absolute configuration
E/Z配置立体化学

二重結合の各炭素上で高順位の置換基を選び、その相対位置を表す記述子。

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詳しい説明
高順位基が同じ側ならZ、反対側ならE。cis/transより一般的で、置換基が四つ異なる場合にも使える。
高順位基が上下同じ側ならZ。
よくある誤解
同じ種類の基が同じ側かだけで判断するのではなく、CIP順位を使う。
alkene stereochemistry entgegen zusammen
立体中心立体化学

二つの配位子を交換すると立体異性体になる原子などの立体要素。

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詳しい説明
四つの異なる置換基をもつ四面体炭素が典型だが、立体化学は炭素原子だけに限られない。
CHBrClFの炭素は四つの異なる配位子をもち立体中心。
よくある誤解
「不斉炭素がある=必ず分子全体がキラル」とは限らず、メソ体などがある。
chiral center asymmetric carbon
鏡像異性体立体化学

互いに重ね合わせられない鏡像関係にある一対の立体異性体。

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詳しい説明
アキラルな環境では多くの物理的性質が同じだが、旋光方向やキラル環境での相互作用が異なる。
単一立体中心をもつ分子のR体とS体は通常、鏡像異性体。
よくある誤解
RとSが必ず右旋・左旋に対応するわけではない。
optical isomer mirror image
ジアステレオマー立体化学

鏡像関係ではない立体異性体。

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詳しい説明
複数立体中心をもつ分子で一部だけ配置が異なる場合や、E/Z異性体が該当する。物理的・化学的性質は一般に異なる。
(2R,3R)体と(2R,3S)体。
よくある誤解
すべての立体異性体を鏡像異性体と呼ばない。
diastereoisomer stereoisomer
メソ体立体化学

立体中心をもつが、内部対称性のため分子全体としてアキラルな化合物。

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詳しい説明
鏡像と重ね合わせ可能で、単一化合物として旋光性を示さない。
meso-2,3-dibromobutaneはR,S配置をもち内部対称面がある。
よくある誤解
立体中心の数だけでキラル性を判断しない。
meso internal symmetry
非共有電子対電子・機構

共有結合に使われず、一つの原子に局在して表される価電子対。

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詳しい説明
求核攻撃、プロトン移動、共鳴などで電子の始点になる。実際の電子密度は分子軌道として広がる場合もある。
OH⁻の酸素上の非共有電子対がカルボニル炭素へ攻撃する。
よくある誤解
「何にも関与しない電子」という意味ではない。
孤立電子対 nonbonding electron pair
形式電荷電子・機構

共有結合電子を原子間で等分したと仮定して求める帳簿上の電荷。

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詳しい説明
形式電荷 = 価電子数 − 非共有電子数 − 結合次数の合計。実際の部分電荷とは異なる。
四本の単結合をもつ窒素は通常+1の形式電荷。
よくある誤解
形式電荷を実測された電荷分布そのものとみなさない。
charge valence electron bookkeeping
巻矢印電子・機構

反応機構で電子対または一電子の移動を表す記号。

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詳しい説明
両矢じりの矢印は電子対の始点から終点へ描く。始点は結合または非共有電子対、終点は原子または結合形成位置。
C–Br結合からBrへ矢印を描くと、結合電子対がBrへ移ることを表す。
よくある誤解
原子の移動方向を示す矢印ではない。
electron pushing arrow mechanism
求核剤電子・機構

電子対を供与して新しい共有結合を形成する化学種。

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詳しい説明
陰イオンとは限らず、H₂OやNH₃のような中性分子も求核剤になりうる。求核性は溶媒、立体障害、分極性にも依存する。
CN⁻がハロアルカンの炭素へ攻撃する。
よくある誤解
塩基性と求核性は関連するが同一概念ではない。
nucleophile electron pair donor
求電子剤電子・機構

電子対を受け入れて新しい共有結合を形成する電子不足な化学種または部位。

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詳しい説明
正電荷をもつ種だけでなく、カルボニル炭素のように結合の分極によって求電子的になる部位もある。
アルデヒドのカルボニル炭素は求核攻撃を受ける求電子中心。
よくある誤解
求電子剤は必ず陽イオンとは限らない。
electrophile electron pair acceptor
脱離基電子・機構

結合電子対を伴って基質から離れる原子または原子団。

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詳しい説明
一般に、脱離後に比較的安定な種になるほど良い脱離基。強塩基は通常、悪い脱離基になりやすい。
I⁻、Br⁻、トシラートは多くの反応で良い脱離基。
よくある誤解
結合が弱いかどうかだけで脱離能を決めない。
leaving group nucleofuge
共鳴電子・機構

原子の配置を変えず、電子の配置だけが異なる複数の極限構造で一つの分子を表す考え方。

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詳しい説明
実在構造は共鳴構造間を往復するのではなく、寄与を反映した共鳴混成体。等価でない寄与構造の寄与は同じではない。
カルボキシラートでは負電荷が二つの酸素へ非局在化する。
よくある誤解
共鳴構造を互いに平衡にある別分子として扱わない。
resonance contributor delocalization
誘起効果電子・機構

電気陰性度や電荷の影響がσ結合を通じて電子密度へ及ぼす効果。

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詳しい説明
距離とともに急速に弱くなる。ハロゲンなどは−I効果を示し、近傍の酸性度や中間体安定性へ影響する。
Cl置換は近くのカルボン酸の酸性度を高めることがある。
よくある誤解
共鳴効果と同じ経路で伝わるわけではない。
induction sigma bond electron withdrawal
カルボカチオン電子・機構

炭素上に正電荷をもつ反応性中間体。

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詳しい説明
典型的な三配位カルボカチオンは平面形で、超共役や共鳴、置換基効果により安定化される。転位する場合がある。
第三級カルボカチオンは単純アルキル系では第一級より一般に安定。
よくある誤解
すべての条件で「第三級>第二級>第一級」だけを機械的に使わない。共鳴が優先することがある。
carbenium ion cation intermediate
遷移状態電子・機構

反応座標上のエネルギー極大に対応する、単離できない瞬間的な配置。

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詳しい説明
完全な結合と切断の中間的な結合状態をもち、二重角括弧と‡で表す。中間体とは異なる。
SN2の遷移状態では求核剤と脱離基の双方が反応炭素へ部分的に結合する。
よくある誤解
寿命の短い中間体と同一視しない。
activated complex energy maximum
反応中間体電子・機構

多段階反応で生成し、その後の段階で消費される、反応座標上の局所的エネルギー極小に対応する化学種。

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詳しい説明
通常は全体反応式に現れない。条件によっては観測または捕捉できるが、遷移状態とは区別される。
SN1反応のカルボカチオン。
よくある誤解
触媒は再生されるが、中間体は反応機構中で生成・消費される点を区別する。
intermediate local minimum
SN1反応反応形式

脱離基の解離を含む段階が律速となり、速度が主に基質濃度に依存する求核置換。

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詳しい説明
カルボカチオン中間体を経る典型機構では、極性プロトン性溶媒や安定なカルボカチオンを与える基質が有利。転位や立体情報の低下が起こりうる。
第三級ハロアルカンの加溶媒分解。
よくある誤解
「必ず完全なラセミ化」ではなく、イオン対などにより偏りうる。
unimolecular nucleophilic substitution
SN2反応反応形式

求核攻撃と脱離が一つの協奏的段階で進み、速度が基質と求核剤の両方に依存する置換反応。

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詳しい説明
背面攻撃により反応中心の配置反転が起こる。立体障害が小さい基質、強い求核剤、極性非プロトン性溶媒が一般に有利。
メチルブロミドへのOH⁻の攻撃。
よくある誤解
「強塩基なら必ずSN2」ではなく、E2との競争や立体障害を考える。
bimolecular nucleophilic substitution backside attack
E1反応反応形式

カルボカチオン形成を経て、速度が主に基質濃度に依存する脱離反応。

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詳しい説明
SN1と同じ初期段階を共有し競争する。より置換されたアルケンが主生成物になる場合が多く、転位も起こりうる。
第三級アルコールの酸触媒脱水。
よくある誤解
単一段階の協奏反応ではない。
unimolecular elimination
E2反応反応形式

塩基によるβ水素引き抜き、二重結合形成、脱離基脱離が一つの段階で進む反応。

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詳しい説明
多くの場合、C–H結合とC–脱離基結合の反平面配置が必要。速度は基質と塩基の両方に依存する。
シクロヘキサン系ではtrans-diaxial配置が要求される。
よくある誤解
「隣の水素ならどれでも取れる」とは限らない。立体電子要件がある。
bimolecular elimination anti periplanar
カルボニル基官能基

炭素と酸素の二重結合からなる官能基。

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詳しい説明
結合が強く分極し、炭素は求電子的、酸素は電子豊富になる。周辺置換基によりアルデヒド、ケトン、カルボン酸誘導体などの反応性が変わる。
ケトンではカルボニル炭素へ求核付加が起こる。
よくある誤解
カルボニルを含む全化合物が同じ反応性を示すわけではない。
C=O aldehyde ketone acid ester
アルコール官能基

飽和炭素などにヒドロキシ基が結合した化合物群。

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詳しい説明
OHはそのままでは悪い脱離基だが、プロトン化やスルホン酸エステル化で良い脱離基へ変換できる。水素結合により沸点や溶解性へ影響する。
propan-2-olは第二級アルコール。
よくある誤解
フェノールやカルボン酸のOHをすべて通常のアルコールとして扱わない。
OH hydroxy hydroxyl
IR分光法分光解析

赤外光の吸収による分子振動を測定し、主に結合や官能基を推定する方法。

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詳しい説明
横軸は通常波数cm⁻¹で、高波数側が左に描かれることが多い。強度や幅も解釈に重要。
カルボニルC=Oは多くの場合1700 cm⁻¹付近に強い吸収を示す。
よくある誤解
表の値と完全一致する一本のピークだけで構造を断定しない。
infrared spectrum wavenumber
化学シフト分光解析

NMR信号の共鳴位置を基準物質に対する相対値ppmで表したもの。

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詳しい説明
電子遮蔽、結合異方性、電気陰性原子、π系などの影響を受ける。磁場強度が変わってもppm値は概ね比較できる。
アルデヒドプロトンは通常9–10 ppm付近。
よくある誤解
化学シフトだけで帰属を確定せず、積分・分裂・他スペクトルと組み合わせる。
delta ppm NMR shift
積分値分光解析

¹H NMR信号の面積から、同じ環境にあるプロトン数の相対比を見積もる量。

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詳しい説明
絶対数ではなく比として扱い、交換性プロトンや重なった信号では不正確になりうる。
積分比3:2はCH₃とCH₂の組合せを示唆する。
よくある誤解
ピーク高さをプロトン数とみなさない。
NMR integral area proton count
多重度分光解析

スピン–スピン結合により一つのNMR信号が複数線へ分裂した形。

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詳しい説明
単純な一次スペクトルでは隣接する等価プロトンn個によりn+1本になるが、非等価な複数組や強結合では複雑になる。
CH₃CH₂–ではCH₃がtriplet、CH₂がquartetになりやすい。
よくある誤解
n+1則をすべてのスペクトルへ無条件に適用しない。
splitting singlet doublet triplet quartet
結合定数分光解析

NMRで分裂線間の間隔をHzで表し、核間のスピン結合の大きさを示す量。

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詳しい説明
互いに結合している信号は同じJ値を共有する。結合経路や二面角、立体配置の推定に使える。
アルケンのtrans結合はcis結合より大きい³Jを示すことが多い。
よくある誤解
ppm間隔ではなくHzで比較する。
J Hz spin spin coupling
遮蔽・脱遮蔽分光解析

核の周囲の電子が外部磁場を部分的に打ち消す効果と、その逆の効果。

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詳しい説明
遮蔽が強いほど一般に高磁場側・小さいppm、脱遮蔽されるほど低磁場側・大きいppmへ移る。
電気陰性な酸素近傍のプロトンは脱遮蔽されやすい。
よくある誤解
電子密度だけでなく、環電流や結合異方性も化学シフトへ影響する。
upfield downfield electron density
質量分析分光解析

イオンの質量電荷比m/zを測定し、分子量・元素組成・断片化情報を得る分析法。

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詳しい説明
イオン化法により分子イオンの見え方や断片化の程度が異なる。質量スペクトルは厳密には分光法ではないが、有機構造解析で併用される。
EIでは分子イオンラジカルカチオンM⁺•と断片イオンが観測される。
よくある誤解
最も高いm/zピークが必ず分子イオンとは限らない。
MS mass to charge m/z
分子イオン分光解析

分子が大きく断片化せずにイオン化された種に由来するピーク。

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詳しい説明
EIでは通常M⁺•、ソフトイオン化では[M+H]⁺や[M−H]⁻などの擬分子イオンが現れる。
分子量100の化合物がEIでm/z 100にM⁺•を示す。
よくある誤解
[M+H]⁺のm/zをそのまま中性分子の分子量としない。
M plus molecular radical cation parent ion
基準ピーク分光解析

質量スペクトル中で最も強度が高く、相対強度100%として表示されるピーク。

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詳しい説明
最も多く生成または最も安定に検出されたイオンを反映するが、分子イオンとは限らない。
アルキルベンゼンでは安定なトロピリウムイオンm/z 91が基準ピークになる場合がある。
よくある誤解
最も高い質量のピークという意味ではない。
base peak relative intensity 100
同位体パターン分光解析

天然同位体組成によって生じる、一定の質量差をもつピーク群の強度分布。

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詳しい説明
Clを一個含む分子ではM:M+2がおよそ3:1、Br一個ではおよそ1:1になることが多い。高分解能では元素組成推定にも使う。
臭素化合物のほぼ同強度のMとM+2。
よくある誤解
同位体ピークを別化合物の不純物ピークと即断しない。
M+1 M+2 chlorine bromine
フラグメンテーション分光解析

質量分析で分子イオンなどが結合開裂や転位により小さなイオンへ分かれる過程。

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詳しい説明
生じるイオンの安定性と中性損失を考えることで構造情報を得る。イオン化法・衝突条件に強く依存する。
カルボニル化合物のα開裂。
よくある誤解
スペクトル上のすべての質量差に一意な構造を割り当てられるとは限らない。
fragment ion cleavage rearrangement
不飽和度分光解析

分子式から環とπ結合の合計数に相当する値を求める指標。

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詳しい説明
典型式はDBE = C − (H+X)/2 + N/2 + 1。OとSは通常式へ入れず、ハロゲンXはHとして数える。
ベンゼンC₆H₆のDBEは4(環1+二重結合3)。
よくある誤解
DBEだけでは環と多重結合の内訳は決まらない。
DBE IHD double bond equivalent